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『バフェットからの手紙』から学ぶ「のれん」の本質

『バフェットからの手紙』は数多くある投資本の中でも最高難度だと思っています。が、その分読み応えがあります。一度ですべて理解するのは難しく、ちょくちょく時間を置いて拾い読みしていくことで理解を深めていく読み方がオススメです。

ところで、最近「のれん」の話題がホットです。IFRS(国際会計基準)と米国基準では現在のれん非償却ですが、今後償却に変わるかもしれません。米国基準は昔は「のれん」を40年以内で償却するルールだったので、先祖返りするかもしれません。

『バフェットからの手紙』では「第6章 評価と会計」で「のれん」について言及しています。バフェットの視点を知ることは、「のれん」について深く理解するきっかけになると思います。

『バフェットからの手紙』からいくつか文章を抜粋して、コメントしていきたいと思います。

 

①経済的な「のれん」と会計上の「のれん」がある。両者の違いは?

より重要なことは、当社(バークシャー)の所有する企業の多くでは、その経済的なのれんの価値が、当社の貸借対照表に計上された純資産額に反映されている会計上ののれんの価値を遥かに上回るという点です。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

経済的なのれん
会計上ののれん

・・・

「のれん」には2種類あるのか!?
って思うかもしれません。

いや別にありません。ただバランスシートに見える化されている場合とそうじゃない場合の2パターンがあるだけです。本質的な意味に違いはありません。

見えない「のれん」=経済的な「のれん」
見える「のれん」=会計上の「のれん」

バランスシートに見える化されるとはどういうことか?

それは買収によって、実際にお金のやり取りが発生すると起こります。

企業Aの純資産は100で株式時価総額が500であれば、その企業には経済的な「のれん」が400あることになります。

A社はその「のれん」をバランスシートに乗せることはできません。そうやって自分で自分の「のれん」を評価して計上することは法律で禁止されています。

でもA社がB社に買収された場合、その400の差額は「のれん」として買収企業B社のバランスシート(連結BS)に計上されます。今まで見えていなかったA社の「のれん」が可視化されます。

B社は実際に金銭を払ってA社を買っています。お金という客観的に測れるツールを介在させることで、今まで無色透明だった「のれん」が姿を現します。「のれん」はふわっと突然出てきたように見えますが、実は元からA社に存在していたものです。

会計上の「のれん」はM&Aをした企業にしか出てこないものですが、経済的な「のれん」はすべての企業が持っています。簿価純資産より時価純資産(株式時価総額)の方が大きい企業は、須らく経済的な「のれん」を持っています。ただ、それはバランスシートには見えません。

経済的な「のれん」は見えないから、当然償却して費用化されることもありません。

それが買収されると会計上の「のれん」にとしてバランスシートに現れて、(日本基準なら)償却されます。今は米国会計基準とIFRSともに「のれん」は非償却ですが、今後償却されることになるかもしれません。

経済的な「のれん」は償却しないのに、それが会計上の「のれん」に変わったからって急に償却することが果たして正しいのでしょうか?

理想論を言えばそれはNOです。しかし、実務を考えれば仕方ない面もあると思います。

私たちは、より優れた会計方法を自ら考え出そうなどとは思っていません。この問題(のれん)は非常に難解で、任意の基準を必要とします。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

 

 

②PBRが高い企業は長期投資に向いている

企業は、市場の平均的な投資収益率を相当超える利益を将来にわたって期待できる場合、論理的に、その純有形固定資産()の額を遥かに超える価値を持っていると言えます。このような超過収益を資本化した価値が経済的なのれんです。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

)ここの「純有形固定資産」は「純資産」に読み替えた方がいいです。

ワイドモートな優良企業は経済的な「のれん」をたくさん持っているとバフェットは言っています。

優良企業は簿価純資産と時価純資産が大きく乖離するということです。つまり、優良企業はPBRが高い傾向にあるということです。

PBR1倍未満の割安株を探そう!

などと巷のマネー誌等はよく言っていますが、長期投資が前提なら無視した方がいいです。

長期投資家はむしろPBRが高い銘柄を探した方がいいです。なぜならPBRが高い企業はたくさんの経済的な「のれん」を持っており、それが将来の莫大な営業キャッシュを生んで、最終的に株主にたくさんの配当を送ってくれるからです。

ただし、残念ながら経済的な「のれん」は普通はちゃんと株価に反映されています。マーケットは合理的です。多額の経済的「のれん」を保持する優良企業は、株価もそれなりに高いです。なので短期的な利益は期待できません。長期的な増益増配を待ちましょう。

将来はわかりませんが、長期で高い増益が期待できるのです。なぜなら、強固な経済的「のれん」を持っているからです。

 

③優良企業の「のれん」は減らない。むしろ増える。

(仮にのれんを償却するならば)会計上ののれんは取得した日から償却され始めて定期的に減額しますが、経済的なのれんは不定期ではあるもののかなり大きく増えているということです。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

ちょっと抜粋を端折りました。バフェットは高い収益性を持つシーズ社の買収について、上記のことを言っています。

どんな企業の「のれん」も増えるわけではありませんが、資本コストを超えるリターンを常に生み出せる優良企業の「のれん」は減るどころかむしろ増えるのだと言っています。

にもかかわらず会計基準の要請で「のれん」を償却するとしたら、会計上の利益はビジネスの実態を示さなくなります。

少なくともインフレ修正前の通貨価値ベースでは、経済的なのれんはインフレによって増額するであろうということです。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

インフレを販売価格に転嫁できる強い企業が持つ経済的な「のれん」は、少なくともインフレ率相当は価値が上昇するというのは、確かにその通りだなと思いました。

 

④会計基準は最大公約数的である必要がある。「のれん」償却もやむなしか。

有頂天になった経営者がバカげた価格で企業買収をする際にも、会計上では正確に処理されます(つまり、のれんが計上される)。

バカげた判断は、どこにも持っていきようがなく、のれん勘定として残されるわけです。そんな勘定を発生させてしまうような規律のない経営方法を考えると、のれん(Goodwill)はノーウィル(No-Will)とでも呼ぶべきでしょう。

のれんとして具体化してしまった経営者のアドレナリンは、あたかも買収が賢明であったかのように資産として帳簿上残されるのです。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

ここです。この1文がIFRSも米国基準も悩んでいるところです。だから、今の非償却を償却に変更しようと議論しているのです。

バカげたM&Aで出現した会計上の「のれん」には、経済的な価値はありません。でもそれが会計ルールによって無理矢理バランスシートに乗っかります。

会計上の「のれん」>経済的な「のれん」

こうなっている事象が山ほどあるんだとバフェットは嘆いています。会計基準を設定する専門家たちも同じ思いです。

会計上の「のれん」に経済的価値がないとわかれば減損しなくてはなりません。減損することで会計上の「のれん」の価値を経済的な「のれん」の価値に近づけます。それが会計ルールです。

でも、その減損判断が適切に行われているとは言い難いです。

ゼネラルエレクトリック社は減配してCEOまで替えて、最近ようやく電力部門の「のれん」を200億ドル超すべて減損すると発表しました。結果論かもしれませんが遅いんです。ここまで投資家に損をさせてようやく減損しています。

監査法人は見抜けなかったのか?

わかりません。GEの監査の実態は知りませんので勝手なことは言えません。ただ減損の判断には経営者の恣意性がふんだんに入るので、減損しないという会社判断を監査で覆すのはかなり難しいです。

優れたな経営判断によるM&Aで発生した「のれん」は非償却。
バカげた経営判断によるM&Aで発生した「のれん」は定額償却。

こんなルールがあれば理想ですが、もちろん無理です。境界線が曖昧過ぎます。

だからもう、すべての「のれん」を定額償却にしちゃえ!っていう流れになりつつあります。仕方ないです。減損を先延ばしにして投資家に虚偽の財務諸表を報告をさせるリスクを抱えるくらいなら、保守的に費用化しておくという考えは理解できます。理想は非償却でちゃんと減損テストすることですが、実務的に無理なら仕方ないです。

 

⑤調整後利益をしっかり見よう

営業利益を見る際には、つまり企業の背後にある経済的実態を評価するに際しては、のれんの償却費用は無視すべきものだと思います。

『バフェットからの手紙(第4版)』より抜粋

仮に「のれん」が償却されることになった場合、年次報告書のPLの営業利益、税引後利益は不当に小さくなります。

企業の実態を適切に捉えるためには、のれん償却費用は無視すべきだとバフェットは言っています。同意です。自分で計算するのは面倒でしょうから、企業が開示している調整後利益を見ましょう。

調整後利益からは「のれん」償却費用が控除されるはずです。

調整後利益は企業が恣意的に算定できるというデメリットもありますが、企業の真の収益性を測定する指標として便利です。

 

ちょっと難しいけど、とても勉強になる永久保有の投資本。

世の中にはバフェット自身が執筆した書籍は一冊もありません。ですが、『バフェットからの手紙』は実質的にバフェットが書いた本と見なせます。なぜなら、バフェットが株主に宛てたレターから抜粋された文章によって構成されているからです。

数多くある投資本の中でも、株式投資の本質に切り込んだ議論が多くて勉強になります。が、やや難しいです。一度の通読ですべて理解するのはかなり難しいです。かく言う私もすべて理解できているつもりはありません。

何度も繰り返し読むことで、じわじわとバフェットの考えが理解できてくる感じです。スルメみたいな本です。kindle版もありますが、読むなら紙の書籍の方が個人的にはオススメです。ちなみに私は紙で2冊(3版と4版)、kindleで1冊持っています(笑)。

バフェットからの手紙 第4版

 

Source: Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!
『バフェットからの手紙』から学ぶ「のれん」の本質

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